作業日記などなど

過去の日記 その4

Vol.4 2004年3月〜12月  

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2004/12/27(晴れ)
・今年ももう少しなのでとりあえず総括
早いもので、今年もあと4日となりました。いろいろと勉強の一年でしたが、無事けがもなく1年間を終えることができそうです。
昨年は、目の前の仕事を片付けていくことに精一杯のところがあって、振り返ればいろいろと課題が見えてきた一年でしたが、今年はその点をふまえて取り組むことができたように思います。が、まだまだ(笑)。自分では「こんなものか」と思っても上には上があります。果てしなく。来年はまた今年より進歩していけるようにがんばります。短期的にも長期的にも具体的な目標が見えてきたこともありますし。
さて、冬ごもりの支度でもしますか。

2004/12/22(晴れ)
・寒くなってきましたか?
長らくご無沙汰してしまいました。やっと忘年会的な行事が一段落しまして、胃腸も元通りになってきました。ほどほどにしないと・・・といつも思うのですが、思うだけですね(笑)。
さて、 12月に入っても気温が高く、暖かくて人間には良いのですが、茶園には余り良くないですね。花が次々と咲いてきました。花が咲くとそこで力を使うし、その花が枯れて病気になったりするので余り良くないのです。とはいえ気温はどうしようもないですしね・・。
・冬仕事
冬の間に、畑のあちこちを直してます。石積を積んだり、杭を打ったり、木を切ったりと、「冬になったらしよう」「冬になったら直そう」と思い続けて何年・・・?みたいなところをまとめて直してます。石を積むのも最初は面白いのですが、何日かたつと指が曲がらなくなってきます。ぼちぼちにしときましょう。

2004/11/28(晴れ)
・いろいろと行事が多いです
畑の方は施肥も終わり、一段落つきました。11月、12月はいろいろな団体の行事が多く、交流会、茶の販売、勉強会などが目白押しです。この間は茶問屋さんと合同で勉強会というか意見交換会というかそういう試みがありまして、生産と販売双方の意見を聞くことができ、なかなか有意義でした。昨日は京都市で農林水産フェスティバルがあり、そこでお茶の販売に行ってきました。お客さんと直に話をして、和束のお茶を飲んでもらうということで、宣伝にもなります。でも小売りはなかなか難しいです。
来月には忘年会もたくさん予定されてます(笑)。体をこわさないようにしなければ・・・。

2004/11/16(晴れ)
・品評会
雨が続いて久しぶりの晴れ間です。急に寒くなり、朝起きるのが辛いです(笑)。
えー、遅ればせながらご報告です。関西茶品評会で3等、和束町茶品評会で2等に入選しました。昨年は等外でしたので、うれしい限りです。来年はさらに上をめざしてがんばりましょう。
・秋番終了
秋番茶が10月末に終了しました。今年は例年より10日程おそい終了です。それからならしをして防除作業、施肥と、しなければならない作業は山積みです(泣)。秋はいろいろと行事が多く、楽しいのですが仕事がなかなか進まないのです。
・週末ワーク
NICEの週末ワークキャンプがありました。今回は挿し木、番茶の摘採、工場へ運搬、製造工程の見学と、お茶の仕事の1サイクルを体験してもらうことができました。なかなか良いワークだったのではないでしょうか。

2004/10/20(雨)台風23号
・今年はどうなっているんだ・・・
また台風がきてます。今年で10個目だそうですが、どうなっていることやら。雨で畑が湿気てしまいそうな感じ。地盤もゆるんできてますので、崖のところは非常に不安定な様子です。また次もきてるようですのでえらいことです。
・秋番茶
夏の管理作業が一段落して、秋番茶に入ってます。2番茶の刈直以後の秋芽を刈って番茶にします。今回刈った軸から来年の一番茶が発芽しますので、その刈面の高さがポイントになります。元気な葉を何枚か残してその高さで刈ってやります。その葉が冬に養分を蓄えます。来年の一番茶に良いものができるかどうか番茶次第といっても過言ではないのだ。いやそこまでは・・?。とりあえず刈れば良いというものではないんですね〜。(そう思ってましたが・・。) 来年の春の発芽時期を調整するために、秋番の時期も調整してますが、思った通りには行きませんので難しいところです。

2004/08/31(雨のち晴れ)
・台風一過
台風16号ですが、やっと過ぎてくれました。なかなか進まずやきもきしながら仕事をしてました。今日で何とか稲刈りが終わりました。
米は、刈ってから脱穀して乾燥機に入れ、もみすりして玄米になるわけですが、うちでは昔ながらの乾燥機(何年もの?)を使ってますので、乾燥に時間がかかります。玄米の水分が14〜15%になればもみすりをします。今年はなかなかきれいな米が採れました。

乾燥機です。モミの下から風を入れます。 もみすり機と選別機 コシヒカリです

 

200/08/25(くもりのち晴れ)
・国際ワークキャンプ
昨日から、和束町に国際ワークキャンプとして諸外国および日本の大学生たち20名が来られてます。私も、受け入れ団体であるわづか有機栽培茶業研究会に所属しておりますので、そのお手伝いをさせてもらってます。皆さん茶畑や山で慣れない農作業のボランティアをしたり、地元の茶農業者との交流・ホームステイ、小学校・保育園への訪問などいろいろな行事が予定されています。事故の無いように、また楽しんで欲しいと思います。
・稲刈り
一月前の日照りとは裏腹に、ここ一週間程うっとうしい天気が続きます。田が乾かないので困ってます。まあなんとか刈れるかなということで本日何枚か稲刈りをしました。あと何日か晴れてくれることを祈ります。刈った稲は乾燥させて脱穀します。

昨年より6日早い稲刈りです

 

2004/07/27(晴れ)
・雨が欲しい
猛暑が続いております。二番茶が終わり、来年の準備をしつつ秋番茶の段取りをしております。しかし雨がふりません。まとまった雨というともう三週間程降ってないでしょうか。そろそろ茶園の芽もしなびてきています。水やりをしていますが、なかなか自然の雨程にはできないものです。台風10号が待ち遠しいです。豪雨で災害が起こっているところもあれば日照りで困ってるところもあるのです。うまくいきませんね。

2004/06/30(水)晴れ一時雨
・二番茶も終盤です
梅雨の合間をぬっての二番茶刈りですが、そろそろ終盤です。今年は刈り遅れにならないよう早め早めに仕事をすませていくようにしましたので、わりと余裕を持ってできました。浅刈りしたり深刈りしたりと、来年の準備もしておかないといけませんので、いろいろと忙しくしております。湿度が高く、蒸し暑いので摘採も疲れますし、製茶も気をつかいます。その日の湿度によって機械の設定をいろいろとあわせていかなければいけません。製茶機械は簡単に言うと「茶を乾燥させる」ものですので、外気の湿度や気温によって設定が変わってくるのです。
「茶摘みだー」といって畑で遊ぶうちの娘の写真を載せておきましょう。いつまで畑についてきてくれるやら。

結構上手に摘むんです(親バカ)

 

2004/06/10(木)曇り
・二番茶開始
さて、今日から二番茶を開始しました。一番で4月24日に刈ったところを刈りました。だいたい一番から45日が二番茶の目安ですが、今日で47日です。その通り、芽が少し大きめでした(笑)。2,3日遅れましたか。しかしその代わり収量は一番より少し多かったです。ま、それなりに良いものができましたが。
いつも思いますが、栽培、摘採、製造、販売どれも難しいですが、その中でも「適期摘採」が一番難しいうちの一つです。その畑の芽の旬(適期)というのは本当は一日しかないでしょう。それを見極めてその日に摘採できれば、あとは失敗さえなければ勝手に良いものになっていくという感じがします。しかしこれがなかなか・・・。この一番茶でも本当に旬に刈れたなと思ったのは2,3回でしょうか。2番茶は気温や天候の関係で、一番茶より生育が早いので、旬の時期も短くなります。さらに雨も多いので見極めと摘採が非常に難しくなります。さあ気合いを入れてがんばりましょう。

2004/05/31(月)晴れのち雨
・刈り直し終了
一番茶のあとの遅れ芽や刈り残しを刈ってあげます。それが刈り直しです。青柳とか番茶とかいろいろいいますが。ほうじ茶の原料にもなります。それももう終わりまして、2番茶の準備に入ります。忙しいですね。
・新植の園
14年に開墾して植えた茶園を、今年初めて摘採しました。まだまだ幼木で収量もわずかで、一人前にはあと5年ぐらいかかりますが、それでも初収穫はうれしいです。

H14年3月開墾・植え付け前

H14年3月植え付け後 H16年4月初摘採後

 

2004/05/22(土)曇り
・一番茶終了
18日に、今年の一番茶が終了しました。今年は収量が昨年より減少しましたが、品質は良いものができたような傾向でした。栽培、摘採、製茶とそれぞれの作業に来年の課題を確認しています。まだまだ改善、改良すべき点が多いです。ともあれ今年も良いものができたのでそのことは素直に喜びましょう。
・中刈り
一番茶を刈り終えた茶園で更新の必要な畑を、ばりばりと刈っています。中刈り(中切り)といいます。腰ぐらいまでの高さがあった茶園を膝ぐらいまで落とします。今年から「R3000」という形状の揃枝機(いわゆるハサミです)を導入しましたので、茶園をその形状に仕立てていきます。「R]は半径、「3000」は3000ミリということで、茶園の上面が半径3mの円弧状になるということです。ほとんどまっすぐに近い茶園になります。摘採の利便性、芽の生育の良さと収量の増加などの効果があります。というウワサです(笑)。こうして更新していくことで茶園も元気になり、良い芽が出てきます。さて、刈り直し(番茶)を刈って、二番茶に向けての作業に入ります。

ばりばりと刈りました

 

2004/5/9(日)雨
・怒濤の茶刈り
しばらく更新してませんでしたが、あと残すところ遅い品種のみとなりました。怒濤の二週間でした。摘採、製茶、販売と非常に忙しい日々を続けています。さすがにしんどいですが、この頃は活気があって気合いが入って何ともいえず良いですね。あと少しですががんばっていきたいと思います。今年は、昨年より良いものができています。収量が少ないのがネックですが(泣)。
・開業
先輩が独立して開業されました。地盤に関するコンサルティング業務を行う「J&Sジオプラン」という会社です。話は聞いていましたが、いざ開業の情報を聞くと、なんだか自分までうきうきするというか、気合いが入るというか、なんとも良い感じです。きっと良い仕事をされると思います。ぼくも負けずに良い仕事をしていきたいと思います。

2004/4/27(火)雨
・初茶
26日初稼働の予定でしたが、24日に刈りました。新茶はよいですね。濃い緑に染まった若い芽を刈っていき、製茶するのですが、この時期の新茶にしかない香りがします。今年もいよいよ始まりました。
早い場所から始めましたが、あとの畑の芽合いがほぼ同じようなので、適期に摘採するのに苦労しそうです。少し早いかなぐらいで刈っていかないと間に合わないかもしれません。

2004/04/21(水)晴れ
・田植え
田植えしました。今年はトラクターが壊れてえらいことでした。来年どうしよう・・・。

田植機

 

2004/4/20(火)雨のちくもり
・機械掃除
昨日から雨がふってます。今日は工場の掃除をしました。これからの一番茶に向けて機械の掃除、点検です。いろいろと不具合を直しながら、機械に火を入れていきます。いよいよ始まるなあと気合いが入る瞬間です。うちの工場は26日に初稼働の予定です。
・霜
今日、天気予報を見てたら24,25日あたりに気温が下がり、霜が降りるかもしれないとのこと。大問題です。新芽が大きくなった状態で霜に当たると、芽の水分が凍り、芽が焦げたようになってしまいます。そうなると品質も低下しますし、収量も落ちます。防霜ファンもありますが、完全ではありません。自然相手ですからこればかりはどうしようもないことですが・・・。また天気予報に一喜一憂する日々が続きそうです。

色づいてきました

 

2004/04/18(日)晴れ
・ネットかけ
一昨日から田の代かきをしてましたが、トラクターが壊れるという非常事態が(笑)。やむを得ず親戚のところでテーラをかりて代かき。トラクターのありがたみが身にしみました。このところの暑さで新芽が一気に大きくなってきました。今日も日中は29度ぐらいあったようですし、明日の雨のあとも30度近い日が続くようです。こうなってくるとどの畑もいっぺんに大きくなり、摘採の適期の判断が非常に難しくなります。一時期に集中してしまうと思われます。そんなこんなで今日からネットをかけ始めました。

2004/04/11(日)晴れ
・鹿児島研修
今日、九州の鹿児島県から帰ってきました。鹿児島ではもう新茶が始まっています。2日間の研修で、鹿児島県の知覧、頴娃、鹿屋といったお茶の産地で畑、工場を見学してきました。見てきた工場では深蒸し茶の製造が主です。また、畑も平地の広い畑で、乗用型の摘採機がほとんどです。こちらとは規模がかなり違います。いろいろと勉強になりました。
さあこれから忙しくなります。

乗用型摘採機

 

2004/04/02(金)雨のち晴れ
・手揉み研修
今日は茶業青年団の行事で、京田辺の山下さんという手揉み名人の研修工場で手揉み研修でした。手で揉むことによって茶の温度や水分をコントロールすることの重要性や製茶の工程の基本を学べます。上手な人がしているのを見ると簡単そうに思えるのですがなかなかうまくできません。でも楽しかったです。
・田んぼ
昨日から田んぼに水を入れています。一日二日かかります。水が入ったらトラクターでこねます。モグラの穴から水が抜けて水がなかなかたまりません(笑)。

水を入れはじめました 2時間後 畦塗り後 遠景

トラクターを入れた後、畦を塗ります。塗り終わったのは9日でした。

 

2004/03/29(月)晴れ
・薪割り
先日、2年前に伐採して乾燥させておいた(ほったらかしておいた)木を持ち帰って薪割りをしました。うちの家ではいまだ風呂を薪で沸かしてます。こう書くと五右衛門風呂みたいですが、そうではなく薪でも灯油でも両方可能なハイブリッドシステムです(笑)。が灯油代がばかになりませんので燃料代節約のためせっせと薪を割ることになります。チェーンソーで玉切り、斧で割っていきます。かなりの重労働で腰にきます。本当は生木の方が割りやすいのですが、放っておいたのでカラカラに乾燥してました。堅い・・・。

 
長さを揃えて切ったところ   春めいてきました

・ビニールハウス張り替え
劣化してところどころ破れ、雨漏りしていたビニールハウスのビニールを張り替えました。補修補修でなんとかしのいできたのですが、もう限界だということでビニールを購入し、風邪のない日を待って作業しました。これで雨がふっても大丈夫でしょう。

1.作業前 劣化してあちこち破れてます 2.ネットをはずしたところ。 3.ビニールをはがして骨組みに
 
4.新しいビニールをかけます 5.ネットをかけ、ビニールを押さえて完成  

 

2004/03/26(金)晴れ
・宇治茶の定義 産地表示問題
今日の読売新聞に、こんな記事が載りました。少し長いですが引用します。

近隣3県産も「宇治茶」OK、自主基準を大幅緩和

 京都産の高級ブランド茶「宇治茶」について、業界団体の京都府茶業会議所は25日、「京都、奈良、滋賀、三重の4府県産の茶葉」と定義した自主基準を4月から実施すると発表した。昨年まとめた「府内産茶葉を50%以上使用」という基準を大幅緩和しており、京都以外の他県産だけでも「宇治茶」の表示が可能になる。
 同会議所は昨年1月、産地表示に対する消費者意識の高まりを受け、宇治茶について、「府内産50%以上で、ブレンドは奈良、滋賀、三重の近隣3県の茶葉に限る」という自主基準を設けた。
 しかし、府内で年間に製造される茶約1万2000トンのうち府内産は4分の1にとどまることから、流通業者などを中心に「商売が立ちいかない」などと強い反対の声が出ていたという。
 新基準では、4府県産のいずれかで生産した茶葉を100%使ったものを「宇治茶」、4府県産が50%以上のものは「宇治茶ブレンド」と表記する。
 同会議所は「古くから4府県の茶葉を使ってきた歴史があり、最善の案。府内産を最優先して使うという内部基準を設け、指導していきたい」としている。(読売新聞 平成16年3月26日)

ちなみに、昨年の12月26日には毎日新聞にこんな記事が出ています。

「静岡茶」「宇治茶」は100%だけ 
日本茶業中央会が産地表示の自主基準を改正

 茶の生産者や流通、小売業者の業界団体・日本茶業中央会は25日、緑茶の産地表示についての自主基準を改正した。
(1)「静岡茶」や「宇治茶」などの表記は、その都道府県や産地で生産された原料を100%使用した場合のみ使用できる
(2)該当産地の原料が50%以上100%未満の場合、「ブレンド」であると明記する――ことが柱。04年4月から試行し、05年4月から実施する。
 従来の基準では、「静岡茶」などと表示できるのは当該産地の原料を50%以上使用し、その産地で製品に仕上げた茶とされていた。(毎日新聞2003年12月26日朝刊から)

詳細  社団法人日本茶業中央会

 

さてどう思われるでしょうか?普通の感覚からいえば、毎日新聞にのった日本茶業中央会の基準の方がわかりやすいですよね。日本茶業中央会の基準、また昨年自らが定めた基準に逆行する形で京都茶業会議所が今回定めた定義では消費者がとまどうと思います。
【京都産の高級ブランド茶「宇治茶」】なのに【京都以外の他県産だけでも「宇治茶」の表示が可能になる】ということを【業界団体の京都府茶業会議所】が決めたって・・・。それでいいのでしょうか。
「宇治茶ブランドを守る」なら、「こういう厳しい基準をクリアしたものだけが宇治茶とよばれる」という方向で、ブランドの価値を高めていく事が重要でしょう。「京都府産の茶葉が1gも入って無くても宇治茶」の可能性がある今回の基準で本当にいいのでしょうか。

しかし、何をもって「宇治茶」というのか、実は難しいところです。普通に消費者の立場からいえば、「宇治で採れたお茶が宇治茶」の一言に尽きると思います。  じゃあ宇治ってどこ?というのが問題になりますが、
1.宇治市のみ 2.宇治市とその周辺市町村 3.宇治市を含む京都府南部地域 4.京都府全域
本当に厳しく考えるなら1か2、生産者の実感からいうと3、実際の流通量等を考慮して4 ぐらいでしょうか。今回の基準では「京都、奈良、滋賀、三重の4府県産のうちいずれかの府県産の茶葉」であれば「宇治茶」ということですから、感覚的に大きなずれがあります。極端な話、「三重県と滋賀県の茶で50%、あとは九州の茶」でも「宇治茶ブレンド」と、「宇治茶」を冠した商品となるのです。断っておきますが、他府県のお茶を悪く言っているのではありません。消費者が「宇治茶」という名前から想像するイメージと、実際の内容がずれてしまうことが、消費者からみれば「ごまかし」「虚偽表示」にみえるのではと危惧しているのです。「「宇治茶」の名前を信用して買ったのに、その商品には宇治はおろか京都府産の茶も全く入ってない」ことがあり得るのです。そして、不思議なことに「それでもいい」ことになるのです。これで「宇治茶ブランド」の価値が守れるのでしょうか?
 「府内で年間に製造される茶約1万2000トンのうち府内産は4分の1にとどまることから、流通業者などを中心に「商売が立ちいかない」などと強い反対の声が出ていた」事でもわかるように、宇治茶の実に4分の3は他府県産のお茶です!!。業者は「宇治茶ブランド」でなければ商売できない、しかし正直に(基準通りに)宇治茶をつくっていたのではこれもまた商売にならないということでしょうね。府内産50%基準でこれですから、100%なんてとんでもないということでしょう。「宇治茶」として売れるお茶が、50%基準なら現在の2分の1、100%なら4分の1に減るということになるからです。
 まあ、安定価格で安定量の供給が必要だという、売る側の論理もわかりますが・・・。確かに、現在の都道府県の境界で産地を区別してしまって良いのかという問題もあります。歴史的に周辺の他府県産の茶をブレンドして仕上げ加工し、宇治茶として育ててきたという背景も考慮すべきでしょう。
 しかし、最も重要なことは、消費者に対しての説明責任を果たし、同時に自らのブランドの価値を高め、また品質を守っていくことです。そういう意味で、理想は京都府産100%ですが、実際の流通量や価格、品質の面から考えて「京都府産50%、あとは周辺3府県のブレンドまで宇治茶としてよい」という昨年の基準は納得できるものでした。それでも「なぜ100%ではないの?」という疑問には答えにくいでしょうけど・・・。それでも線をひくならそのあたりかなという気がします。さて今年の「宇治茶」の定義で消費者は納得してくれるでしょうか。売る側の都合ばかりが見えて、消費者にそっぽを向かれなければよいのですが。

私、一生産者としては、結局のところ良いものを作ることが重要だと思います。それが一番です。ブランドの名前とか定義とかはその前提があっての話であると思います。「名前だけ」「形だけ」「値段だけ」では意味がないです。
・・・ということで今年もがんばります(笑)。 

2004/03/23(火)晴れ
・ワークキャンプ
この間の日曜日、「ナイス」(国際ワークキャンプを主催する団体)の社会人ワークがありまして、顔を出してきました。前日が雨だったため、予定していた西山氏の畑で苗木を植える作業はできませんでしたが、去年植えた苗木の水やり、フィルム、棹をやり直しました。ほぼ全部の挿し木が活着している様子。参加された方々も慣れない農作業ではありましたが、とても楽しそうでした。和束町では有機茶業研究会、ほっこりサークルなどが受け皿となって、学生、社会人のワークキャンプを積極的に受け入れています。われわれとしてはこうした活動を通して和束茶、また和束町のことを知って欲しい、好きになって欲しいと思っています。
・萌芽
最近の良い天気で、新芽が大きくなってきました。早い品種は特にです。こうなってくるといよいよという感じがしてきます。また慌ただしくなります。楽しみです。ただ、これから怖いのは霜です。こうして大きくなった新芽が霜で焼かれてしまうと最悪です。20日から霜よけの扇風機(防霜ファンといいます)のスイッチを入れてきました。温度センサーがついていて、設定温度になれば自動的に作動し、茶畑上空の暖かい空気を茶園表面に吹き付けて霜を防ぎます。

2004/03/16(火)晴れ
・梅
今日からまた肥料をやっています。長く効くタイプの肥料で、芽が少しふくらんできた早い場所の畑からやっていきます。
今日は20度を超える天気で、暑かったです。畑の横の梅の花が八分咲きぐらいです。

・茶審査技術競技会
14日に、京都府茶業連合青年団による茶審査技術競技大会が行われました。私も和束町茶業青年団から選手として出場しました。この大会は、
・茶期・・・・・五種の資料茶の茶期(1番茶、2番茶、3番茶)を判定します。
・品種・・・・・やぶきた、おくみどり、ごこう、さみどり、こまかげ、さやまかおり、かなやみどりの7品種から、任意の5種が出題されます 熱湯で浸出させて判定します。
・産地・玉露・・五種の玉露の産地を判定します。宇治、八女、静岡、両丹、田辺の5種が出題されます。
・産地・煎茶・・五種の煎茶の産地を判定します。宇治、静岡、朝宮、大和、鹿児島の5種が出題されます。
ここまでが前半で、5点満点の4問で計20点満点です。
後半は茶香服です。宇治玉露、八女玉露、宇治煎茶、静岡煎茶、鹿児島煎茶の5種を飲んで判定します。4回行いますので20点満点です。前半、後半と合わせて40点満点です。京都大会の上位10人は全国大会へ出場します。
かなり練習したのですが、難しかったです。点数により、段級位がもらえるのですが、残念ながら目標には届きませんでした。また来年がんばります・・・。和束町茶業青年団からは2名が全国大会へ出場します。がんばってください。

2004/03/12(金)くもり
・椎茸の木
今日は、椎茸の菌を植えた木を山からおろしてきました。今まで山に置いておいたんですが、猿に全部とられてしまいまして、やむを得ず家の廻りに置くことにしました。また雨の後にたくさん出てくるでしょう。
・研修会
さて、この間、和束町有機栽培茶業研究会で、滋賀県愛東町の方々をお迎えして研修会がありましたので行ってきました。やはり農村部の抱える問題はところが違っても共通する点が多く、いろいろと勉強になりました。特に考えさせられたのは後継者の問題で、なかなか難しいようです。親の世代は自分の仕事に誇りを持っている、しかし仕事は厳しい、子供には苦労をさせたくない、でも自分の仕事を継いで欲しい、というなかなか複雑な心情を持っておられるようです。私は自分が後継者世代なのでそちら側の視点から見ると、一番のポイントは親自身の姿勢ではないでしょうか。子供は親の後ろ姿を見て育つとといいますしね(笑)。最終的には本人が選ぶことです。自分に自信や誇りを持つこと、楽しんで仕事をすることが大事なのではないでしょうか。

2004/03/08(月)くもりのち晴れ
・落ち葉拾い
寒い日が続きます。今日も朝起きるとうっすらと雪がつもっていましたが昼間に日が昇ってくると少し暖かくなりました。今日は、畑のゴミ拾いです。冬の寒さで枯れた葉や、周辺の木や竹などの葉が茶園に乗っています。それを一つ一つ手で拾っていきます。今度の新茶にこういう葉が入ると品質が落ちますので今のうちにきれいにしておきます。なかなかに腰の痛い仕事です。
・鳥インフルエンザにおもうこと
一連の鳥インフルエンザ事件の渦中、責任者の1人が亡くなる事件がありました。事件そのものやマスコミの対応などについての意見は控えますが、食べ物の生産者として、今回のような事態に置かれたときにどう対応すべきかなどいろいろと考えました。
京都府のお茶についていえば、すべての生産者の、一つの圃場ごとに生産履歴簿がついています。これは、圃場の場所、品種、摘採および製造日、製造場所、そして農薬の使用履歴(種類、回数、量、購入先)、肥料の使用履歴などがすべて明記されています。そして、製品としてのお茶から生産者、圃場の特定ができます。こういったシステムを生産者、農協、問屋が一体となって整備、運用しています。もちろんまだまだ改善すべきところもあると思いますが、こういった点は消費者にはあまり知られていませんので、もうちょっとアピールしていっても良いのではと思います。

2004/03/02(火)くもり
長い間ほったらかしにしていたこの日記ですが、ごく少数の方のあたたかい励ましを受けまして、また再開したいと思います(笑)。
昨年度のお茶は何とか堅調に終えることができました。産地表示や生産履歴の問題などいろいろとあった一年間ですが、生産者にとっては良いお茶、うまいお茶をつくるという姿勢に変わりはないです。今年もがんばっていこうと思います。

 さて、近況など。
茶審査技術競技会 
京都府茶業連合青年団 茶審査技術競技会へ出場できることになりました。和束町茶業青年団からの出場枠になんとかすべりこみました。(予選があります) この競技会は、玉露産地別5種、煎茶産地別5種、品種別5種、茶期別5種、そして茶香服4回と、計40点満点で茶の審査技術を競う大会です。難しいですが面白いです。現在特訓中。
エコファーマー
和束町有機栽培茶業研究会において、「持続性の高い農業生産方式」通称エコファーマーの導入についての取り組みに参加しました。エコファーマーとは、環境と調和のとれた持続的な環境保全型農業生産方式を導入していくことで、環境への負荷を減らし、より安全な作物を作っていこうという取り組みです。具体的には、
1.土壌調査を行い、堆肥など有機物資材の施用を基本とした土作り
2.化学肥料の低減
3.化学農薬の低減
の三つの技術の組み合わせで生産計画を策定、導入していくというものです。
「環境に優しい」「地球に優しい」といったスローガンや「エコファーマー」の名称についての是非はさておき、とりあえず取り組むことにしました。うまいお茶をつくりたい、そのために考えていたり、またすでに導入し始めた技術のいくつかで三つの条件をある程度クリアできると考えたこと、またこういった取り組みの過程でいろいろと情報を吸収できると考えたこと、などが主な理由です。「エコファーマー」の称号をとるために技術を導入する のではなく、良い物をつくる過程で重なる部分が多いならとってみようか というスタンスです。今のところ。ずいぶん偉そうですね(笑)。

暖かくなったり寒くなったりの繰り返しです。今日は茶園のならしをしました。古葉が今度の新茶に入らないようにするため、摘採面を刈りならします。もうすこしかかるでしょう。新芽の芽袋がもうでてきています。

 

 

 

 

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